RESEARCH
研究内容

我々の研究テーマは、「角膜内皮疾患に対する新しい治療法として、再生医療と薬物治療を開発すること」です。角膜の裏側にある角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つために必須の細胞であるにもかかわらず、再生能力を持っていません。そのために、病気やケガ、眼科の手術などによって角膜内皮細胞が障害されると、角膜が濁って視力を失います。角膜内皮障害に対する唯一の治療法は1900年代より、亡くなった方から提供された角膜を用いた角膜移植のみです。

私たちは、従来の方法では実質的に不可能であった、角膜内皮細胞の大量培養法の開発に成功しました。さらにはROCK阻害剤という薬剤と一緒に培養した角膜内皮細胞を眼に注射するだけで角膜内皮が再生されることを発見しました。実際に、私たちが開発した技術を京都府立医科大学に技術移転し、2013年12月には京都府立医科大学附属病院において、世界初となる角膜内皮再生医療の臨床研究を開始しました。

さらに、私たちは世界の角膜移植の約40%の原因であるフックス角膜内皮ジストロフィという病気に対しての、薬物療法の研究を進めています。不明点の多かったフックス角膜内皮ジストロフィの病気のメカニズムを解き明かすことで、治療薬が働くことのできるターゲットを発見しました。これまでに、複数の薬剤がフックス角膜内皮ジストロフィの進行を止め効果があることを発見しました。さらに研究開発を進めることで、患者さんが点眼薬を使うことで、角膜移植を受けなくて良くなるという時代をもたらしたいと考えています。

研究内容

学外研究機関との共同研究

学外共同研究機関として、京都府立医科大学大学院(視覚機能再生外科学およびゲノム医科学)、京都大学再生医科学研究所、大阪大学微生物病研究所、カーディフ大学(英国)、エルランゲン大学(ドイツ)、Mayo clinic(米国)、Johns Hopkins 大学(米国)、チュラロンコン大学(タイ)をはじめとして多くの国際的な最先端研究を実施している研究グループとの共同研究を行っています。

共同研究

国際的にも先進的な研究

研究室では京都府立医科大学との様々な研究チームとの共同研究に加え、複数の海外の研究機関との共同研究を行なっています。短期・長期を問わず、国内外の研究機関の交流が活発ですので、研究に関する専門性、独創性のみならず、社会人としての振る舞い、国際性を学ぶことができます。実際に、研空室の学生には、日常的に行われる外国人研究者とのディスカッション、積極的に進めている国際学会での研究発表、留学などを通じて、ロジカルに英語で話す習慣を身につけてもらっています。

先進的な研究

産学連携の推進

複数の製薬メーカーとの共同研究を行なっており、私たちの研究グループの取り組みは、産学連携の成功例としても評価されています。産業化を目標とした研究開発の最前線、産学連携の実際の現場に携わることができ学部生、大学院生にとって貴重な経験を積むことができます。